2015年 07月 12日
松本隆と微熱少年 |
ぼくが学生の頃夢中になった本がある。
『微熱少年』というタイトルの本の作者は
作詞家・松本隆だった。
ふと手にとって読み始めたその本は
ぼくに東京への憧れと大人への道標を示してくれた。
「熱すぎない、だから微熱なんだ」
それ以降ぼくの人生は、常に熱を帯びていくことになる。
時には熱すぎることもある、でも冷めることはない
そんな感じだ。
同時に松本さんから文章の書き方についても学んだような気がする。
それはぼくが勝手に松本さんの書く文章を読んで感化されただけなんだけど
自然にその文章にひきこまれていった。
松本隆の書く詞は
リズム感とストーリー性が高い次元で交差していて
どの作品からも学ぶべきことはある。
言葉の選び方が卓越しているのは言うまでもない。
あの頃世の中は
松田聖子派と中森明菜派に分かれていて
二人の歌は対照的な印象を与えていた。
それを作ってる二人
そう、松本隆と売野雅勇、ぼくはどちらも好きだった。
学生時代にやっていたタウン誌編集の仕事をする時のペンネームは
『藤野雅勇』だったし
一人称で書く時に使うのは「僕」ではなくて「ぼく」
松本さんと売野さんから並々ならぬ影響を受けたことは確かだ。
ドラマ性があり風景が目に浮かび
男と女の本質をうまく浮き上がらせることのできる文章を書ける
それが二人に共通する才能だ。
最近松本隆作詞活動45周年記念で様々なモノがメディアから提供されている。
風街をうたう
風街をよむ
風街であひませう
今でも『風街』という言葉を聞くと
若かった頃のぼくの東京に対する憧憬の気持ちがよみがえる。
特に“青山辺り"に対する憧れは全く色あせていない。
松本さんは「風街はみんなの心の中にある」というけれど
ぼくにとっての風街はやっぱり東京だ。
でも福岡には古くからやってる『風街』という喫茶店がある。
そこはぼくが社会人になって数年たった頃毎日のように通ってた。
その店の名前が、松本さんの風街からとったものかは今でもわからない。
でもその店の雰囲気が憧れていた東京青山辺りの店の雰囲気と
なんとなく似てるように感じてた、勝手に。
松本さんとぼくが会うことはこの先もないだろう。
だけど、この文章を書くことで
会えたような気がしてる。
松本隆
稀有な才能を持った作詞家
これからもその才能をぼくらに見せつけてほしい。
そしてつい最近、松田聖子の新曲を作ることを発表してくれた
作曲はユーミンだ。
現役でいてくれてありがとうございます。
『驟雨の街』で松本さんのドラムスを再び聴けて
幸せです。
数十年ぶりに自宅の本棚からひっぱり出した
『微熱少年』の初版本。
by fjblog
| 2015-07-12 20:00
| Music